Summaryこの記事の要点
募集開始は開業の2〜3か月前。募集〜入社に1〜2か月、研修に2〜4週間かかる。
2024年4月から、募集時に「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期契約の更新上限」の明示が必要(改正職業安定法施行規則)。求人情報は正確・最新に保つ義務がある。
東京都の最低賃金は2026年10月1日から時間額1,280円(54円引上げ)。都道府県ごとに異なるので、店舗の所在地で確認する。
面接は「人柄で選ぶ」ではなく、業務に必要な行動を具体的に聞く。開業時の採用の失敗は、最初の3か月の売上に直結する。
01採用のスケジュール:開業の2〜3か月前から
開業時の採用で一番多い失敗は、始めるのが遅いことです。求人を出してから応募が集まるまで2〜4週間、面接と内定、現職の退職調整で入社までさらに1か月。入社後の研修(オペレーション、接客、レジ)に2〜4週間。合計すると、オープンの2〜3か月前には募集を始めている必要があります。
募集を始めるには、求人票(労働条件)が固まっていなければなりません。つまり、営業時間、シフトの組み方、時給・給与、人数、役割分担は、開業の3か月前には決まっている必要がある、ということです。事業計画書の人件費の欄と、ここは直結しています。
02求人票に書くこと:2024年4月からの明示ルール
求人を出すときに明示しなければならない労働条件は、職業安定法とその施行規則で決まっています。厚生労働省のリーフレットによると、2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、次の項目が追加されました。
- 従事すべき業務の変更の範囲(雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めて)
- 就業場所の変更の範囲(将来の転勤・他店舗への異動の可能性を含めて)
- 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
複数店舗を出す計画があるなら、「就業場所の変更の範囲:会社の定める店舗」のように、将来の異動の可能性を最初から書いておく必要があります。同じリーフレットは、募集広告などの情報を提供する場合は掲載した時点を明示するなど、正確かつ最新の内容に保つ義務があることも記しています。開業前に出した求人票を、開業後に条件が変わったまま放置するのは避けてください。
| 求人票の項目 | 書き方の要点 |
|---|---|
| 業務内容と、その変更の範囲 | 開業時の役割と、将来任せる可能性のある業務(例:調理補助→調理、店舗異動の有無) |
| 就業場所と、その変更の範囲 | 店舗の住所。将来の出店で異動があり得るなら明記 |
| 契約期間・更新の上限 | 無期か有期か。有期なら更新の有無と上限 |
| 労働時間・休日 | シフト制の場合は始業終業の幅、週の勤務日数、休日の決め方 |
| 賃金 | 時給または月給。最低賃金以上。深夜割増(22時〜5時は25%以上)、残業の扱い |
| 社会保険・労働保険 | 加入の有無と条件。従業員を1人でも雇えば労災保険は加入。雇用保険・健康保険・厚生年金は要件で異なる |
| 試用期間 | 有無と期間、期間中の条件 |
| 受動喫煙防止の取組 | 店内禁煙・喫煙室の有無(明示義務あり) |
03最低賃金と人件費の見立て
最低賃金は都道府県ごとに定められ、毎年10月前後に改定されます。東京労働局の案内では、東京都の最低賃金は2026年10月1日から時間額1,280円(54円の引上げ)です。店舗の所在地の最低賃金を厚生労働省のサイトで確認し、改定時期をまたぐ求人は改定後の額で計算してください。
人件費の見立てでは、時給に加えて、深夜割増(22時〜翌5時は25%以上)、法定の社会保険料の事業主負担、求人広告費、研修期間中の給与(売上のない期間の人件費)を含めます。開業時の人件費を低く見積もる計画は多く、公庫調査で開業時の苦労の1位が資金繰りになる一因でもあります。社会保険の適用要件は事業形態や従業員数で異なるため、年金事務所や社会保険労務士に確認してください。
04面接の設計と、開業後の定着
小さな店の採用で「人柄が良さそう」で決めると、開業後の最初の3か月で辞められて売上に直結します。面接では、業務に必要な行動を具体的に聞いてください。「忙しい時間帯に注文が重なったとき、どう優先順位をつけたか」「お客様に怒られた経験と、そのとき何をしたか」のように、過去の行動を聞く質問が、将来の行動を一番よく予測します。
定着のためには、入社前に決めておくことがあります。研修の内容と期間、評価と昇給の基準、シフトの決め方。これらが曖昧なまま始めると、「聞いていた話と違う」が最初の退職理由になります。求人票に書いた条件を、そのまま入社時の労働条件通知書にする。それだけで多くのトラブルは防げます。
職種ごとに求人票の書き方は変わります。美容室ならスタイリストとアシスタント、飲食店ならキッチンとホール、ジムならトレーナーと受付。業種別の注意点は 美容室、飲食店、ジム の各ガイドにもあります。
05採用準備で、YUMEMIRUができること
全プランで、募集条件の整理と求人原稿、募集方法の助言を行います。竹プランでは2職種分の求人設計・面接設計・月次の改善、松プランではさらに求人掲載作業・応募受付・面接日程調整(月20名まで)まで対応します。求人媒体の掲載費・人材紹介料は別途です。
Plan 01
梅1回のみ
事業計画・コンセプト・売上シミュレーションの相談を1回。まず全体を整理したい方に。
Plan 02
竹6ヶ月
計画づくりから物件の立地診断、融資申込みの準備まで。開業前の判断を一緒に進めます。
Plan 03
松12ヶ月
開業準備に加えて、HP制作・運用、採用準備、開業後の経営改善まで12ヶ月伴走します。
料金はプランと任せる範囲で異なるため、ご相談時にご案内しています。詳しくは プラン比較 をご覧ください。
Q&Aよくある質問
Q1求人はいつから出せばよいですか?
開業の2〜3か月前が目安です。募集から入社まで1〜2か月、研修に2〜4週間かかります。そのためには開業の3か月前に営業時間・シフト・賃金・人数が決まっている必要があります。
Q22024年4月から求人票で何が変わりましたか?
改正職業安定法施行規則で、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約の更新上限の有無と内容」の明示が追加されました。将来の店舗異動の可能性があるなら、その旨を最初から書く必要があります。
Q3時給はいくらに設定すればよいですか?
所在地の最低賃金以上が前提です。東京都は2026年10月1日から時間額1,280円。そのうえで、同じ商圏の同業態の募集時給を調べ、深夜割増や研修期間の給与も含めて人件費を見立てます。
Q4採用の支援はどこまで含まれますか?
全プランで募集条件の整理と求人原稿、募集方法の助言。竹は2職種・面接設計・月次改善、松はさらに求人掲載作業・応募受付・面接日程調整(月20名まで)まで対応します。求人媒体の掲載費・人材紹介料は別途です。
Ref.参考資料・出典
- 厚生労働省リーフレット「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます」 https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf
- 東京労働局「東京都の最低賃金は令和8年10月1日から、1,280円になります」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/kiba/minimum-wage-information_2026.html
- 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月公表。対象は公庫国民生活事業が2024年4〜9月に融資した企業、回答2,165社。公庫の融資先に限られる点に注意) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的・税務的な助言ではありません。制度や手数料は改正・改定されることがあるため、申請前に所管の窓口でご確認ください。
