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Restaurant / Cost質問別

飲食店の開業資金はいくら必要か:公庫調査の数字と、自分の店の金額を出す手順

「飲食店の開業にはいくら必要ですか」は、相談で最初に聞かれる質問です。答えは「店によって3倍くらい違う」なのですが、それでは計画が立たない。この記事では、公的な調査にある数字をまず正しく読み、そのうえで自分の店の金額を4つの費目に分けて積み上げる手順を書きます。

更新日 2026.10.08執筆・監修 株式会社ハイトンインダストリー YUMEMIRU 店舗開業サポート読了目安 約7分

Summaryこの記事の要点

  • 公庫の2025年度調査では開業費用は平均975万円・中央値600万円、500万円未満が41.8%。ただし全業種・融資を受けた人だけの数字。

  • 飲食店に限った公的統計はない。内装会社や会計ソフト会社の「1,000万円程度」は目安であって調査値ではない。

  • 金額は「物件取得費」「内装・厨房」「開業準備費」「運転資金」の4つに分けると、自分の店の数字が出せる。運転資金は最低6か月分を見る見方が多い。

  • 自己資金は平均279万円(調達額の22.9%)。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は自己資金要件が撤廃されたが、審査では積み立ての経緯が見られる。

01公庫調査の「平均975万円・中央値600万円」をどう読むか

開業資金の話で一番よく引用されるのが、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月公表)です。開業費用の平均は975万円、中央値は600万円。分布は「250万円未満」20.1%、「250万〜500万円未満」21.7%で、合わせて41.8%が500万円未満で開業しています。資金調達額の平均は1,219万円で、うち金融機関等からの借入が827万円(67.9%)、自己資金が279万円(22.9%)でした。

この数字を使うときに、押さえておくことが3つあります。

1つ目、全業種の数字だということ。調査の開業業種はサービス業が27.7%、飲食店・宿泊業が14.5%で、業種別の開業費用は公表されていません。飲食店は厨房設備と内装がかかるぶん、全業種の中央値600万円より上に寄るのが自然です。

2つ目、公庫の融資を受けた人だけの調査だということ。借入をせずに開業した人は入っていません。中央値600万円は「借りて開業した人の真ん中」であって、「飲食店はこれだけあれば開ける」という数字ではありません。

3つ目、平均と中央値の差(375万円)が大きいこと。少数の大型開業が平均を押し上げています。自分の店の計画を立てるときの基準は、平均ではなく中央値側に置いた方が現実的です。

では飲食店の目安はいくらか。弥生株式会社の記事(2026年7月更新)は「一般的に1,000万円程度と言われている」とし、内装については「カウンターのみの小規模店で600万円以上、こだわる場合は1,500万円以上」という幅を示しています。これは調査値ではなく一般的な説明なので、参考程度にとどめてください。公的な支援サイト J-Net21(中小企業基盤整備機構)も、飲食業の開業資金について金額の目安は示さず、「設備資金」と「諸費用」に分けて自分で積み上げることを勧めています。この記事もその立場です。

02自分の店の金額を出す:4つの費目に分けて積み上げる

「いくら必要か」を人に聞くより、自分の店の条件で積み上げた方が、融資の面談でも使える数字になります。費目は4つに分けます。

費目中身金額の出し方
① 物件取得費保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃、居抜きなら造作譲渡料候補物件の募集条件から計算する。保証金は店舗物件では家賃の数か月〜10か月分の幅があり、物件ごとに違う。前家賃は1〜2か月分が目安(弥生)
② 内装・厨房設備内装工事、厨房機器、給排気・電気容量の増設、什器、看板内装の坪単価はスケルトンで30〜80万円、居抜きで15〜50万円という幅が示されている(マネーフォワード、2026年4月更新。二次情報)。20坪なら数百万円の差になるので、必ず2社以上の見積もりで置き換える
③ 開業準備費営業許可の申請手数料(2万円弱の例が多い。J-Net21)、食品衛生責任者の講習、HP・メニュー・ロゴ、求人、研修期間の人件費、初回仕入れひとつひとつは小さいが、足すと数十万円になる。見落としやすいのは研修期間の人件費と初回仕入れ
④ 運転資金開業後の家賃・人件費・仕入れ・水道光熱費弥生の記事は「最低6か月分」。当社も、月商が計画の7割で推移しても半年もつ金額を勧めている

積み上げたら、J-Net21 が勧めるように「最大」「最小」「中間」の3案を作ってください。融資の希望額が満額つかなかったときに、どこを削るかが先に決まっていると慌てません。内装のグレードを落とす、居抜きに切り替える、席数を減らして運転資金を厚くする、の順で検討するのが一般的です。

Check

一番危ないのは、①と②に予算を使い切って④が薄い計画です。公庫調査で開業時に苦労したことの1位は「資金繰り、資金調達」(56.9%)、開業後の採算は黒字基調が67.0%、つまり3店に1店は赤字基調です。運転資金の厚さは、この1/3に入らないための保険です。

03自己資金はいくら要るか。融資との組み合わせ

公庫調査の自己資金は平均279万円で、資金調達額の22.9%にあたります。かつて公庫の創業融資には「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件がありましたが、現在の「新規開業・スタートアップ支援資金」ではこの要件は撤廃されています(制度の最新条件は公庫の公式ページで確認してください)。

ただし、要件がなくなったことと、審査で見られなくなったことは別です。自己資金がどう貯まったか(毎月の積み立てか、直前に親族から入ったか)、通帳で確認されます。計画の2〜3割を自己資金で用意し、残りを借入にする組み立てが、調査の平均像にも近く、面談でも説明しやすい形です。融資の申込み手順と準備するものは 開業資金の融資相談ガイド にまとめています。

もう一つ、融資の対象にならないお金があります。開業後に自分の生活費です。弥生の記事は生活資金として6か月分程度を自己資金で別に持つことを勧めています。店の運転資金と自分の生活費を同じ財布にすると、どちらかが先に尽きます。

04金額を下げる現実的な方法と、下げてはいけないところ

開業資金を下げる手は、効く順に、居抜き物件を選ぶ、席数と面積を小さく始める、厨房機器を中古やリースにする、内装の施工範囲を絞る、の4つです。居抜きはスケルトンに比べて内装の坪単価が大きく下がる(マネーフォワードの示す幅で比べると半分近く)一方、前の店が撤退した理由がそのまま残っていることがあります。排気、客席の見えにくさ、周辺の人通りの時間帯。立地診断ガイド の手順で、前テナントの業態と撤退理由を確かめてから決めてください。

逆に、削ってはいけないのが運転資金と、保健所の基準に関わる設備です。基準に合わない厨房は営業許可が下りず、やり直しが一番高くつきます(手続きの流れは 飲食店の開業ガイド)。

当社の店舗開業サポートでは、候補物件の条件から上の4費目を一緒に積み上げ、売上シミュレーションと並べて「この金額で、この家賃で、続くか」を見ます。HP・SNSの初期制作費はプラン料金に含めているので、③の開業準備費はその分だけ軽くなります。

Plan 01

梅1回のみ

事業計画・コンセプト・売上シミュレーションの相談を1回。まず全体を整理したい方に。

Plan 02

竹6ヶ月

計画づくりから物件の立地診断、融資申込みの準備まで。開業前の判断を一緒に進めます。

Plan 03

松12ヶ月

開業準備に加えて、HP制作・運用、採用準備、開業後の経営改善まで12ヶ月伴走します。

料金はプランと任せる範囲で異なるため、ご相談時にご案内しています。詳しくは プラン比較 をご覧ください。

Q&Aよくある質問

Q1飲食店の開業資金は平均いくらですか?

飲食店に限った公的統計はありません。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種、公庫の融資先が対象)では、開業費用の平均が975万円、中央値が600万円です。飲食店は厨房と内装がかかるため、全業種の中央値より上に寄ると考えるのが自然です。

Q2500万円で飲食店は開業できますか?

公庫調査では500万円未満で開業した人が41.8%います(全業種)。飲食店で500万円以内に収めるなら、居抜き物件で小規模に始め、運転資金を削らない組み立てが前提になります。候補物件の条件で4費目を積み上げてみることを勧めます。

Q3自己資金はいくらあればよいですか?

公庫調査の平均は279万円(調達額の22.9%)です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金に自己資金の要件はありませんが、審査では自己資金の積み立て経緯が見られます。計画の2〜3割を目安に用意し、別に生活費6か月分を持つのが現実的です。

Q4運転資金は何か月分必要ですか?

最低6か月分を見る見方が一般的です(弥生の記事など)。開業直後は仕入れの支払いが売上の入金より先に来るうえ、月商が計画どおりに立ち上がらないことも多いためです。月商が計画の7割で推移しても半年もつ金額を勧めています。

Ref.参考資料・出典

  1. 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月公表。対象は公庫国民生活事業が2024年4〜9月に融資した企業、回答2,165社。公庫の融資先に限られる点に注意) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf
  2. 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(制度の最新条件は公庫の公式ページで確認) https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinkikaigyou_m.html
  3. 中小企業基盤整備機構 J-Net21「開業資金の考え方(飲食業)」(公的支援サイト。金額の目安は示されていない) https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list9/9-2-5.html
  4. 弥生株式会社「飲食店の開業費・初期費用はいくら?」(2026年7月15日更新。会計ソフト会社による二次情報) https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/oyakudachi/inshokugyo-kaigyohi/
  5. マネーフォワード クラウド「店舗の内装工事費用はいくら?坪単価の相場」(2026年4月1日更新。二次情報。坪単価は幅のある目安) https://biz.moneyforward.com/restaurant/basic/2974/

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的・税務的な助言ではありません。制度や手数料は改正・改定されることがあるため、申請前に所管の窓口でご確認ください。

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